祥雲寺

  1. 白山繁昌記
  2. 白山附近の事ども
  3. 史蹟、神社、仏閣、名所
  4. 指ヶ谷町以外附近各町
  5. 祥雲寺

戸崎町十三番地にある。 瑞鳳山祥雲寺、曹洞宗敷地、吉祥寺に属する。 天文元年遠山隼人正創建と云ふ。 墓の左側に

後北条氏累代帰山宗、聖徳太子尊像安置、瑞鳳山廿九世篤友代造立 明治三〇年一二月

と自然石に刻したるのが建つて居る。 右に観音堂がある本尊十一面大士の額がある。

松樹の下にむかし大酒で高名であつた。 三浦新之丞樽明の碑がある。 此の新之丞は小石川富坂 下小笠原信濃守の藩中にして、三浦源右衛門が実父である。 此のもの天性酒をこのみ、多く飲に及んでは更に対すべき人がなかつたと云ふ。 依つて酒飲の門弟も数多あつたと云ふことである。 此のものの碑を山東京伝は地黄坊樽次が墓なりと誤り書したと云ふことである。 樽次の墓は谷中三崎如林寺中にあるとの事である。 さて三浦新之丞樽明は延宝八申年正月八日病死し、法名酒徳院醉翁枕樽居士と号す。

その碑は左の通りである。

酒徳院醉翁枕樽居士

立像の不動尊

皆人の路こそかわれ死出の山打越みれば同じ麓路

南無三宝多くの酒を飲ほして身は明樽と帰る古郷

台石には延宝八庚申年正月八日歿すと刻してある。

鐘楼あり、鐘の銘は心越禅師の筆にして稀有のものなりである。